腰椎椎間板ヘルニア どう考えて治療する?

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これまで何度か若手治療家やトレーナーに

「腰椎椎間板ヘルニアに対する治療では、どのように考えてアプローチをしていますか?」とご質問いただいてきました。

椎間板ヘルニアと聞いて、

何をしたらいいかわからない!

とりあえず、症状が出ている部位にアプローチしてます!

という若手治療家やトレーナーは少なくないと思います。

椎間板ヘルニアへの治療の考え方は様々あると思いますが

今回は、椎間板ヘルニアに対する治療で私なりの考え方を共有していこうと思います!

椎間板ヘルニア・椎間板症とは

まず椎間板ヘルニアや椎間板症とはどんなものかから、ざっくり書きますね!

椎間板ヘルニアとは

“プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より引用

椎間板が変性して突出したり、髄核が椎間板から飛び出て炎症が起き、神経など周囲に影響を及ぼすことでさまざまな症状を引き起こす障害

症状としては

腰痛や下肢痛

痺れや知覚障害

筋力低下などが挙げられます

“プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より引用

椎間板症とは

椎間板に対する繰り返しのストレスで椎間板が変性、機能が低下することで

前屈や座っていると腰が痛いなど症状が現れます。

椎間板自体に痛みが出ることもあり、背骨の真ん中が痛いという主訴も見られます。

私の経験では

腰方形筋あたりや側腰部にかけて帯状に痛みが出るという方もいました。

椎間板ヘルニア以外が原因のパターンも考えなくてはいけない

患者様が椎間板ヘルニアがあって痛いんです。と言っても

ヘルニアや神経根症状じゃないケースも考えなくてはいけない

どういうことかと言うと

腰痛や下肢痛、痺れがあり

整形外科での診察で椎間板ヘルニアと診断されても、症状は別のところが原因の場合もあるんです。

椎間板ヘルニアと診断された患者様によくよく話を聞くと、画像はレントゲンだけしかとっていないこともあります。

椎間板ヘルニアの確定診断にはMRIが必要になりますが、レントゲンで椎体の間が狭くなっていると「ヘルニアだねー」と言われることもあるようです。

画像を撮って椎間板ヘルニアが写っているのに全く症状がない方もいるので、難しいところです。

そんな中、私たち治療家が考えなくてはいけないのは

それって本当に椎間板ヘルニアが原因で出ている症状ですか?というところ

どういうことかといえば

椎間板ヘルニアによる症状ではなく

もっと抹消に原因がある場合があります。

たとえば

・仙腸関節の痛み

・臀筋群や梨状筋のトリガーポイントによる関連痛

・腓骨筋やハムストリングスなどでの神経絞扼

などが原因で症状が出る場合もあります。

このように椎間板ヘルニアの症状だと思っていたら

椎間板ヘルニア以外が原因で症状が出ているケースもあるため、しっかり見極めてアプローチする必要があります。

トリガーポイントによる関連通では

↓のようなエリアに痛みが広がります。

中臀筋

手技療法とオステオパシーにおけるトリガーポイントと筋肉連鎖

小臀筋

手技療法とオステオパシーにおけるトリガーポイントと筋肉連鎖より引用

椎間板症・ヘルニアに対する治療での考え方

では、ここからは椎間板ヘルニアが原因と思われる症状へのアプローチについて

椎間板症や椎間板ヘルニアに対する治療で考えるべきことは

椎間板に対する圧や負荷を減らすことだと私は考えています。

つまり

・腰椎の前弯を取り戻す

・仙腸関節の動きを取り戻す

・胸郭、股関節の動きを取り戻す

ということです。

腰椎前弯を取り戻す

腰椎椎間板の繊維輪は前部に比べ後部は弱くなっています。

椎間板には自動安定化機構があり、自動で椎体を安定させるはずが、それを超える力がかかったり

持続的にストレスが続くと許容を超えて繊維輪がダメージを負ってしまいます。

腰椎が後弯していると繊維輪後部が持続的に引き伸ばされます。

繊維輪後部は前部に比べ構造的に弱いため、そのアライメントが続くと損傷しやすくなります。

さらに

前弯している時に比べ、椎間板に対する圧が強くなるため損傷しやすくなります。

そのため腰椎の前弯を取り戻すことが必要になります。

カパンジー機能解剖学 3 脊椎・体幹・頭部 原著第7版より引用

もっとざっくり言うと

腰椎が後湾していると、椎体間の後ろ側が開くため

構造的に弱い後ろ側の繊維輪にはストレスがかかり、損傷することで繊維輪に炎症が起きたり

髄核が飛び出てしまうので、前弯を取り戻すことで椎体間の後ろ側を閉じるようにアプローチしようということです。

髄核の自動安定化機構についてはこちら→体の機能ってすごい!~椎間板システム~

仙腸関節の動きを取り戻すに

脊柱は一つ一つの椎骨で負荷を分散させています。

その中で仙腸関節の動きに制限があると圧(負荷)が分散できなくなり、椎間板にストレスがかかります。

そのため仙腸関節の動きを取り戻すことにより椎間板に対するストレスを軽減することが大事になります。

仙腸関節へのアプローチ↓

バレエダンサーの鼠径部痛

体幹の側屈や股関節屈曲で仙腸関節が痛い

胸椎や股関節の可動性を取り戻す

胸郭や股関節の可動性が低下すると椎間板にストレスが大きくなります。

例えば、回旋する際に胸郭の回旋制限があると胸郭で回旋できないため腰椎に負荷が大きくなります。

すると、椎間板のねじれストレスが大きくなり、損傷に繋がります。

股関節の動きが悪くなると

回旋動作でも上記と同様に椎間板にストレスを強めてしまうし、前屈した時に股関節の動きが悪いと脊柱での前屈が強くなり

椎間板に対する圧が高まり、損傷に繋がります。

このように

腰椎の前弯

仙腸関節の可動性

胸郭や股関節の可動性

を取り戻すことで、椎間板に対する圧や負荷を減らすことが、椎間板ヘルニアや椎間板症へのアプローチでは必要になると考えています。

最近良く見かけるののはテレワーク腰痛

デスクワークでは

座位の時間が長く

骨盤は後傾位になりやすく

腰椎は後弯

胸郭は屈曲位

ハムは長時間短縮位に置かれ硬く縮こまりやすくなります。

この状態では椎間板へのストレスはかなり高くなります😱

実際に最近は、テレワークの方で椎間板症を疑う方が多くみられます。

そういった方には、上述したアライメント変化をみて椎間板への負荷を軽くすることで症状の軽減や消失に繋がります。

炎症が強い場合には、医療機関での診察をススメる!

最後に注意点!

ここまで、椎間板ヘルニアの患者様には椎間板への負荷を減らそうとお話ししてきましたが

炎症が強い場合には、しっかりと見極めて医療機関での診察を勧めましょう。

治療家として治したい気持ちもわかりますが、炎症が強い場合には私たちができることは多くないので

患者様のことを第一に考え診察を勧めましょう。

痛みや炎症が落ち着いてきたら、さらに症状を良くするため

私たちが出来ることは多くなります!

炎症が強いときは丁寧に状態をお伝えして、診察を進め状況を把握し

炎症が落ち着いてきたところで、私たち治療家、トレーナーがアプローチをすることで回復が早くなると考えられます!

今回は以上です!

この記事が若手治療家やトレーナー、その先の患者様の役に立ちますように。

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