体幹の側屈や股関節屈曲で仙腸関節が痛い

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今回は先日治療した、仙腸関節の痛みについて書いていきます!

仙腸関節は複雑で苦手意識が強い人が多いと思います。

そんな人たちの参考になれればと思います👍

 

仙腸関節について

仙腸関節はご存知の通り、仙骨と腸骨からなる関節で3mm程度の動きを有しています。

(動く動かないは諸説ありますが、今回は動く側の視点で書きますね!)

体幹の動き

股関節の動きと連動して動きます

3mm程度の動きってそんなに大きくないと思いますが

仙腸関節が動かないだけで

椎間関節

椎間板

股関節痛

など色々な症状に繋がります。

腰痛はもちろん、筋膜のつながりを考えても広く影響を及ぼすため

かなり重要な関節だと考えていて、私はどんな症例でもアプローチしている部位になります。

プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より引用
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より引用

今回の症例

女子体操選手で膝伸展位での右股関節の屈曲や

体幹の右側屈で右仙腸関節に痛みが出るとのことでした。

姿勢は骨盤が胸郭より前に出るスウェイバックで患側の骨盤がより前方にありました。

痛みの部位が仙腸関節で、仙骨底を押し込むことで痛みも誘発され

どうやら炎症がありそうです。

じゃあ、何もできないかー

といえば、そうでもなく

炎症を完全に引かせることはできないですが

仙腸関節に負荷をかける状況を改善することで、痛みを改善することはできると考えるので、今回はそこを狙ったアプローチになります。

体幹の右側屈で右の仙腸関節に痛みがあり、側屈した時の抵抗感は左の腰方形筋にありました。

腰方形筋の硬さが強いと対側に側屈した時に、腰椎の動きが制限されます。

すると、腰椎で側屈できない分、仙腸関節にストレスがかかることがあります。

この腰方形筋を緩めることで、側屈の痛みは軽減しましたが、ちょっと楽になる程度で

まだ痛みは残ります。

しかし、この腰方形筋の硬さも

そもそもはスウェイバックが問題なので、そちらに手を入れます。

スウェイバックでは、上述した通り胸郭より骨盤が前方に変位している状態で

骨盤後傾

股関節相対的伸展位

腰椎前弯軽減

胸郭屈曲

などのアライメントになります。

骨盤後傾ですが、大臀筋の緊張はあまりなくハムストリングス起始部や外旋六筋、長内転筋に緊張が強くでて

相対的伸展位にある股関節に引っ掛けて乗せるように立つイメージになります。(これは私のイメージですが。)

股関節の屈筋群は伸長固定

ハムストリングスや外旋六筋は短縮位に置かれます。

アプローチとして、上述した筋を緩めることで骨盤全体の動きは改善しました。

しかし、それだけでは足りないのです。

スウェイバック姿勢にある方は

腰椎を前方から支えたり、骨盤を前傾方向に引く

腸腰筋の反応が低下している方が多いと私は思っています。

腸腰筋については若手治療家が見落としやすい腰痛治療における腸腰筋の重要性でも書いています。

 

今回の選手も股関節屈曲に抵抗をかけると、どちらの脚も弱く

仙腸関節が痛い側でとくに腸腰筋の反応が落ちていました。

痛みは膝伸展位で股関節を屈曲すると仙腸関節に痛みが出て

膝屈曲位で股関節を屈曲すると痛みは出ないんです。

つまりどういうことかというと

膝伸展位では、膝屈曲位に比べ

股関節を屈曲する時に股関節屈筋群に必要とされる力が大きくなります。

しかし、この選手は腸腰筋の反応が落ちている状態なので

股関節軸で屈曲することができず

骨盤を後傾させることで、動きを完成させようとしていたと考えられます。

代償動作ですね。

その動きが仙腸関節に負荷をかけて痛みを起こしていると考えたわけです。

その推論をもとに腸腰筋の反応を取り戻すアプローチを入れます。

内容は以前もご紹介したこちらです。

もしくは、仰臥位で膝屈曲位にて

マッスルインバランス改善の為の機能的運動療法ガイドブックより引用

股関節屈曲に徒手で軽く抵抗をかけて

コンセットリックやアイソメトリックで筋反応を取り戻したりもします。

そして推論が正しいのか、動きの確認をしてもらいます。

再度痛みを確認してもらうと

側屈でも、股関節屈曲でもほとんど痛みを感じられないようでした!

やはり、腸腰筋の反応が落ちていたことで

姿勢や動きが悪くなり、仙腸関節にストレスをかけていたのだと考えられます。

このように推論を立てて、介入し前後で症状を確認することで評価することを

治療的診断と言ったりします。

私たちは画像診断はできないため

さまざまなテストや治療的診断を用いることで患者様の状態を把握する必要があります。

患者様の話を聞きながら

評価→推論→介入→再評価

の流れをしっかり行いましょう!

まとめ

今回の選手は体幹の右側屈と膝伸展位での股関節屈曲で仙腸関節に痛みがありました。

姿勢はスウェイバック姿勢でした。

スウェイバック姿勢では腸腰筋の反応が低下していることが多く

この選手も腸腰筋の反応が低下していました。

この腸腰筋の反応低下により姿勢や動きが崩れて痛みが出ていたと考えられます。

骨盤後傾に固めている筋を緩めて、腸腰筋の反応を取り戻すで骨盤、腰椎バランスが整い

股関節屈曲動作では、股関節軸で動くことができ、仙腸関節にストレスがかからなくなりました。

またスウェイバック姿勢で緊張が強くなっていた腰方形筋を緩めることで

腰椎全体で側屈動作ができるようになり、側屈での仙腸関節へのストレスも解消しました。

側屈については

腰方形筋だけでなく、スウェイバック姿勢が改善されたことで腰椎の前弯が取り戻されたことにより

腰椎全体で正しい動きができるようになったとも考えられます。

ここまでの介入で痛みはほぼ改善されるので

残った炎症を引かせるように方法を伝えて

腸腰筋を中心にトレーニングを伝えて今回は施術を終えました。

今回は以上です!

画像で見ても痛みの原因がわからない症例でも

しっかり評価→推論→介入→再評価をすることで見えてくることがあります。

丁寧に患者様や選手と向き合って、笑顔になってもらてるようにアプローチしましょう!

この記事が若手治療家やトレーナー、その先の患者様の役に立ちますように。

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