前回、前々回と肩の治療についてお話しして来ましたが、今回も肩の治療に関するお話です!
本当は別の部位をと思っていましたが
また気づきがあったので、アウトプット&シェアさせていただきます!
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そして、今回のお話は
大胸筋上部繊維
の肩関節への影響についてです!
大胸筋
大胸筋は一般の方も知っているメジャーな筋肉で、日常生活ではものを抱き抱えたり、腕立て伏せのような動作でも使われる筋肉です。
そんな大胸筋は、
上部繊維
中部繊維
下部繊維
の3つで構成されます。
それぞれの起始停止について
起始
上部繊維:鎖骨内側1/2
中部繊維:胸骨柄、第2~7肋軟骨前面
下部繊維:腹直筋鞘(外腹斜筋膜とするものもアリ)
停止は全て共通で
停止:上腕骨大結節稜
作用
作用は
肩関節の水平内転
肩関節の屈曲
肩関節の内転
肩関節の内旋
神経支配
大胸筋を支配する神経は内側及び外側胸筋神経(C5~8、T1)
上部繊維C5.6
中部繊維C7~T1
下部繊維C8~T1
肩関節への影響
そんな大胸筋ですが、治療をしている中で肩関節の痛みに対して大きく影響していました。
作用から考えて
水平外転や外転、伸展、外旋の制限となることは考えられますが
大胸筋が肩関節の痛みにどのように影響するのか
特に今回は上部繊維にフォーカスを当ててお話をします。
大胸筋上部繊維の緊張は、肩関節周囲、つまり鎖骨、肩甲骨、肩関節、頚部の動きを制限すると考えられます。
大胸筋上部繊維は鎖骨から上腕骨に付着しており、緊張や硬さが強くなると
鎖骨や肩関節に影響します。
鎖骨が制限されると
胸鎖関節、肩鎖関節、肋鎖、頸部など肩関節周囲の動きを制限します。
それだけでなく、
上腕骨から肩を上方、内方に引き込むことがあるんです。
また上肢下垂位では大胸筋上部繊維の硬さが強くあることで、上肢に頸部が引かれ頸部の緊張が強くなることもあります。
一例として以下に実際の治療例を挙げます✍️
治療例ー肩峰下の痛みー
先日治療した実際の例をお話しします!
肩を最大屈曲したり、そこから後ろに回すように肩を返すときに肩峰下に痛みが出るという相談がありました。
姿勢を見ると肩が胸のほうに引かれるような姿勢で三角筋の緊張も見られました。
棘下筋の上腕骨の前方変位も見られ、三角筋、棘下筋の影響による上腕骨の変位が腱板にストレスをかけると考えました。
その考えを元に治療を進めていくと
なかなか肩周囲の緊張が抜けきらず
鎖骨の動きも悪いまま
これは何か違う原因があるなと思い
改めて肩を見てみると
・・・
ありました。
大胸筋上部繊維の硬さが強く出ていました。
この状態のままでは
鎖骨の動きは制限され、肩は全体に胸の方に引かれて緊張は強くなります。
さっそく大胸筋上部繊維を緩めると
肩の緊張がスッと抜けました。
三角筋や棘下筋の硬さも抜けるため、最後に頸部へアプローチすることで、症状は解消しました。
まとめ
今回は大胸筋上部繊維の肩関節への影響についてお話をしました。
大胸筋上部繊維は
鎖骨から上腕骨大結節稜に付着する筋で
ここの硬さが強くなると鎖骨の動きの制限となり、また肩全体の緊張に繋がることがあります。
そうなることで腱板にストレスがかかり、痛みが出ているケースがあり
今回ご紹介したケースでは、大胸筋上部繊維の硬さを緩めることで症状は解消しました。
また別の方の症状では
胸部から腕神経に沿った痛みが出ているケースにも出会い
こちらも大胸筋上部繊維の硬さを緩め、鎖骨の動きを取り戻すことによって症状が解消するケースもありました。
この方は鎖骨の動きの制限から腕神経が絞扼されて上肢にも症状が出たのだと考えられます。
この他にも
大胸筋上部繊維が
肩関節周囲や頸部の症状に影響することも考えられます。
肩関節周囲の症状に対して
大胸筋上部繊維は大事な部位なんですね!
最後に
いつも述べていますが、炎症が考えられる症状に対しては無理にアプローチすると、症状が悪化することがあります。
炎症所見はしっかり見極めましょう!
今回は以上です。
参考になれば幸いです。
この記事が若手治療家やトレーナー、その先の患者様の役に立ちますように!
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