先日、5ヶ月前に右手中指ばね指の手術をしたという男性の患者様が来院されました。
お話を聞くと手術をしてしばらくしてから、指が痛くなり今では腕全体の重さがあってつらいと言います。
リハビリはしてましたか?と聞いたところ
どうやら、病院ではリハビリをしてもらえなかったようで
「指を動かしておいてくださいね。」
と言われただけ
しかし、意識して動かすこともなかなか続けられなかったようで、気づいた時に動かす程度だったようです。
今回はそんな患者様への治療についてお話していきます。
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ばね指とは
ばね指とは、指に発症する腱鞘炎の一種を指します。ばね指を発症すると、指の付け根の痛みや腫れなどの炎症症状が出現することになります。ばね指の初期症状は朝方に悪化することが多く、日中は指を使用することで症状が改善するようになります。病状が進行すると、“ばね現象”と呼ばれる指がはねるような動作を伴うようになります。
https://medicalnote.jp/diseases/%E3%81%B0%E3%81%AD%E6%8C%87?utm_campaign=%E3%81%B0%E3%81%AD%E6%8C%87_%E6%A6%82%E8%A6%81&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo#%E6%A6%82%E8%A6%81より引用
日本整形外科学会のページもわかりやすいので参考にしてみてください!↓
体の状態
治療の話に戻ります。
今回の患者様、仮にAさんとします。
Aさんは手術が5ヶ月前で、今までリハビリはあまりして来なかった。
そして、術後から痛みや腕の重さが強くなっている。
以上のお話を聞くと
もしかしたら腱の癒着が強く出ているのかもしれないな💦と思いました。
そんなことを考えながら、患部を見ると滑走不全はありそうですが、幸い思ったより強い癒着はなさそうでした。
他動的に指を伸展すると中指PIP関節掌側に痛みが出て、自動での指の屈伸動作でも同じ部位に痛みが出ます。
さらに薬指にも同様の症状が見られました。
手術はしているので、ばね様の症状はありません。
お身体の状態を見ると、患側の頸肩部の緊張が強く
上肢全体にも緊張が出ていました。
アプローチ
患部への血流改善
ばね指や腱鞘炎への治療で大事にしたいのは患部の血流改善です。
腱鞘炎は何らかの原因で患部のむくみが起き、腱と腱鞘との摩擦が強くなることが原因と考えられています。
ばね指や腱鞘炎の患者様では、頸肩部の緊張が強く上肢への血流が悪くなっている方が多い印象です。
血流の悪化があると当然むくみは現れやすいので、腱鞘炎・ばね指の患者様では、頸肩部の緊張は解消したいポイントになります☝️
Aさんも胸郭の動きの悪さが見られ頸肩部の緊張が強く、この緊張を緩めることで、上肢への血流改善を狙いました。
特に腱鞘炎やばね指でお悩みの方では、胸郭の動きが悪い方が多い印象です。
胸郭の動きが悪いことで頸肩部の緊張が強くなり、上述した理由で腱鞘炎になりやすいと考えられます。
そのため、胸郭の可動性を取り戻すことも大事なポイントなんです👍
手部の可動制限
また手部の動きの悪さも見られました。
特に2~4中手骨間、手根部の動きの制限があり、この状態では手全体での連動が取れず患部である指の関節にもストレスがかかると考え、虫様筋や前腕屈筋より手根部、中手骨の動きを取り戻しました。
DIP関節の可動制限
Aさんは中指、薬指を他動的に伸展させるとPIP関節の掌側に痛みがあります。
そこで指をよく見るとDIP関節が軽度屈曲位にあり、伸展制限が強くありました。
自動ではDIPが伸展しきらないくらい硬くなっていました。
DIP関節は他動的に動かしても軸圧をかけても痛みはなかったため、痛みを確認しながらモビリゼーションを行いました。
おそらく深指屈筋腱の滑走不全があるのではと考えて、DIP、PIP下の深指屈筋、浅指屈筋に軽圧でコンプレッションストレッチをかけ滑走を促しました。
するとDIP関節の制限はなくなり、他動的に指を伸展させた時の痛みもなくなりました。
そこで、最後に前腕部の指屈筋を丁寧に緩め
Aさんに指の痛みを確認してもらうと
「動きやすい!あ、痛くないや」
とのことでした!
はじめにお話を聞いたときは、癒着が強く改善には時間がかかるかもなと思っていましたが
初回でここまで反応が出れば心配し過ぎだったようです♪
しかし、このまま何もせずにいるとまた硬さが戻ってしまうため
指のリハビリ方法を伝えて、まずは毎日しっかりリハビリを行うように伝えて施術を終えました!
Aさん、リハビリをちゃんとやりながらしっかり治していきましょうね😊
最後に
腱鞘炎の方に出会うと指に意識がいきがちですが、
指だけでなく胸郭や頸部など、全体を見て指への影響を考え、ストレスを解消していくと改善に向かいやすいです。
しかし、Aさんへのアプローチが全ての患者様に効果的とは限らないので
丁寧に体の評価をしてアプローチしていきたいですね!
今回は以上です。
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