今回は
肩の障害に繋がる上腕骨の変位3選
というテーマでお話していきたいと思います!
肩に限らず、治療において
◯◯の痛みは□□にアプローチすれば治る!
なんてものはありません。
痛む場所が同じでも原因となったシチュエーションやアライメントによって、アプローチは様々だからです。
だからと言って、
全て自分で勉強しながら経験して覚えなきゃいけないよ!というと、車輪の再発明を続けることになり治療家も育ちにくいし、救われる患者様も少なくなるなと思うので
このブログでは私の治療の経験を綴り
そんなこともあるんだ!
と気づきや勉強のきっかけになればと思っています。
そして、私が治療をしている中で
こういうアライメントの崩れ方が多いなーというものもあるんです。
その中でも今回は、肩の障害に繋がるアライメントの崩れについて
上腕骨の位置を変位させるものを
3つ挙げてお話ししていこうと思います✍️
1.棘下筋の硬さ
まずは棘下筋の硬さや緊張に伴う上腕骨の変位について
棘下筋の起始停止
起始:肩甲骨後面
停止:上腕骨大結節
棘下筋の硬さが強くなると
肩が痛いという患者様の中で
棘下筋の硬さが強く出ている方がいます。
棘下筋の硬さが強くなると
上腕骨を前方に押し出し
上腕骨の前方変位を起こすことがあります。
その状態では上腕二頭筋や三角筋前部繊維などの
肩関節の前部繊維にストレスをかけやすく
二頭筋長頭腱炎をはじめとした、さまざまな肩の障害に繋がります。
その場合、主訴は肩の前側など棘下筋とは違うところに現れます。
主訴となっている肩の前側へのアプローチだけでは改善しにくく
上腕骨が前方変位する原因となった棘下筋にアプローチすることで、症状の改善につながるケースがあります。
2.三角筋の硬さ
三角筋の硬さや緊張に伴う上腕骨の変位について
三角筋の起始停止
起始:
前部繊維ー鎖骨外側1/3
中部繊維ー肩峰
後部繊維ー肩甲棘
停止:三角筋粗面
三角筋の硬さが強くなると
三角筋の硬さや緊張が強くなると
上腕骨を上方に引き上げ
上腕骨の上方変位が起きることがあります。
上腕骨が上方に変位すると
肩峰下の隙間が狭くなり
肩峰下で腱板炎や肩峰下滑液包炎などの障害が起きやすくなります。
また、三角筋が硬くなると肩甲骨や鎖骨の動きの制限や僧帽筋など周囲の筋に緊張が波及するなど様々な影響が考えられます。
そのため
腱板炎をはじめとした肩の治療で上腕骨の上方変位があった場合、三角筋へのアプローチで症状の改善に繋がるケースがあります。
3.三頭筋の硬さ
最後に三頭筋の硬さや緊張に伴う上腕骨の変位について
起始停止
起始
長頭 肩甲骨の関節下結節
内側頭 上腕骨体後面
外側頭 上腕骨体後面
三頭筋の硬さや緊張が強くなると
三頭筋の硬さや緊張が強くなると
上腕骨の前上方変位が起きることがあります。
上腕骨の前上方変位が起きると
肩関節前面にストレスをかけたり、肩峰下のスペースが狭くなり
上腕二頭筋長頭腱や棘上筋、肩峰下滑液包にストレスがかかります。
すると、二頭筋長頭腱炎や腱板炎、肩峰下滑液包炎など肩の障害に繋がります。
それだけでなく、棘下筋や菱形筋に緊張が波及することもあり
肩甲骨や肩関節の動きの制限となるケースもよく見られます。
そのため、肩の障害や可動域制限があった場合、上腕三頭筋へのアプローチで症状の改善に繋がるケースがあります。
まとめ
今回は肩の障害に繋がる上腕骨の変位について3つご紹介しました。
棘下筋による上腕骨の前方変位
三角筋による上腕骨の上方変位
上腕三頭筋による上腕骨の前上方変位
この3つの変位に共通して
変位が起こったことでストレスのかかる場所は別の場所である。
つまり、棘下筋、三角筋、上腕三頭筋ではなく、症状は別の場所に出てくるということです。
症状の出ている場所だけでなく、今回お話したような変位を見つけてアプローチすることで症状の改善に繋がります。
では、なぜ今回お話した筋肉に硬さや緊張が出るのかといえば、肩甲骨や胸郭など周囲のアライメントの崩れが原因となっていることがあります。
例えば棘下筋を緩めようとした時、屈曲位にある胸郭、外転位にある肩甲骨にアプローチするなど
実際の肩の治療では、肩甲骨や胸郭を見ることも欠かせません。
こちらに肩と胸郭との関連も書いていますので、見てみてください。
今回は以上です。
若手治療家の参考になれば幸いです。
このブログではが若手治療家やトレーナー、その先の患者様の役に立ちますように。
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