転んだ後から脚がだるいんです。ー後十字靭帯損傷ー

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こんにちは!

先日、脚のだるさを主訴とする患者様が来院されました。

よくよく見ると後十字靭帯損傷を疑う事例で

改めて主訴に対して評価、徒手検査をすることが大事だなと感じたので共有します。

経緯

普段から良く通っていただいているAさん

2月頃に来院されたとき

主訴は頸肩部のつらさでした。

そのとき、

「先週転んでしまって、膝が痛いんですよー!笑」

「病院に行って骨は大丈夫と言われました。傷もあるので今日は膝は触らないでください。」

とお話しされていました。

たしかに傷もあり、腫れていたので

その日は膝には触れず、施術をしました。

4月頃にまた来院されたときには

「前に転んでぶつけた側の脚がずっとだるくて、夜はだるさであまり寝られないんです。」

とお話しされていました。

ん?

それは何かおかしいぞ

と思い

膝をチェックしたところ

後十字靭帯の損傷を疑う所見が見られました。

転んで膝をぶつけたこと

それからずっとだるさが続くこと

がひっかかりました。

普通はそんなにだるさは続かないだろうし、転んでぶつけたと言う話が後十字靭帯等の損傷を考えさせました。

これは、もう一度しっかり診察してもらった方が良いなと思い

後十字靭帯損傷の可能性をお話して納得していただき、再度受診することとなりました。

また後日、診察結果を伺うと

「おっしゃる通り、後十字靭帯が伸びていると言われました。」

とのことでした。

断裂ではなく、損傷とのことでした。

再度診察を進めて本当に良かったです。

危うく見逃されるところでした。

後十字靭帯とは

プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系

では、そもそも後十字靭帯とは?

おさらい!

走行・機能

後十字靭帯は、前十字靭帯よりも厚く、前十字靭帯とほぼ直角に走り後顆間区から大腿骨内側顆外側面に通る。

前十字靭帯とともに大腿骨と脛骨の関節面を接触するように保ち、主に矢状面で膝関節を安定化する。

太字部分 プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系 第3版 より引用

機能は脛骨の後方移動の制限をしています。

受傷機転

後十字靭帯損傷は転倒や交通事故など、膝屈曲位で脛骨前面を打撲して発生することが多いです。

徒手検査

サギング兆候

後方引き出しテスト

後十字靭帯の損傷があると大腿骨に対して脛骨が後方にずれやすくなります。

サギング徴候

膝関節90°で膝を側方から見ると、PCL損傷があると脛骨が後方に落ち込んでいます。

私は仰臥位で

股関節90°膝90°に屈曲し下腿遠位を保持して脛骨の落ち込みを見ます。

公認アスレティックトレーナー 専門科目テキスト③ スポーツ外傷・障害の基礎知識より引用

後方引き出しテスト

仰臥位で股関節45°膝関節90°に屈曲させ、検者は両手の親指を膝前方関節裂隙にあて、手のひらで脛骨上端に後方ストレスを加える。

後方ストレスにより脛骨が大腿骨顆部の後方へ滑り込むと陽性となる。

今回私が行った検査も上記2つで

何かおかしいぞと思い

まずサギング兆候がないか確認して、その後後方引き出しテストを行いました。

どちらも陽性だったため、Aさんにお話をして診察をすすめました。

公認アスレティックトレーナー 専門科目テキスト③ スポーツ外傷・障害の基礎知識より引用

治療家も徒手検査を学ぶ必要がある

鍼灸あマ指師の学校では、

あん摩マッサージ指圧

の実技授業を行いますが

例えば靭帯損傷等の徒手検査の練習にあまり多くの時間を取りません。

靭帯損傷に限らず、

患者様の主訴に対して

何が

どうなっているのか

評価、理解したうえで治療することが重要です。

中には今回のように大きなケガが隠れている可能性があるから。

なにより、何がどうなってるのか分からずに介入すると

治せないばかりか、怪我をさせてしまうことだって考えられますし

評価をして治療することでより高い治療効果が期待できます。

まだあまり、徒手検査知らないよという方は

スペシャルテスト

について学びましょう!

評価がしっかりできると、患者様も安心してさらに信頼されるようになります。

今回のAさん

手術はせず保存療法となり、今は病院でリハビリを始めております。

私の施術としては後十字靭帯が緩い中、膝の負担を軽減するように

また、リハビリでの疲労に対して施術を続けています。

Aさんは保存療法ですが、状態によっては手術を選択されるケースもあるので

お医者さんの診察が必要です。

「転んだんです。」

とお話しされる患者様は少なくないと思います。

気をつけて診ないと、見逃され続けて

さらに大きな怪我や障害に繋がりかねません。

私たちも徒手検査について学び、丁寧に検査をしなくてはいけませんね。

今回は以上です。

この記事が治療家・トレーナー、その先の患者様の役に立ちますように。

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